売り手はどこまで売却サイトの保証をするべきか?

売り手はどこまで売却サイトの保証をするべきか?

サイト売買の契約書では、売り手はどこまでサイトを保証する義務があるのでしょうか?

私も初めて売却を経験した時は、後で生じる責任問題が心配でした。

でも、心配な気持ちは買主側も同じですよね。
個人とって、数十万円というのは安くない金額なので、買ったサイトが赤字の負債サイトになると最悪です。

買い手がサイトをできるだけ保証して欲しい心理は当たり前の感情だ、と理解した上で対策を考えましょう。

ここでは、サイト売買の契約書で定められる売主のサイトの保証義務について簡単にまとめました。

売買契約の規定は、知らなかったでは済まない重要な事なので、サイト売買が初めての人に特にお伝えしたいです。

トラブル防止には仲介会社での取引が安心>>個人のサイト売買でおすすめの仲介会社は?10社を簡単に比較

契約書の売り手のサイトの保証義務

契約書で売り手は、競業禁止や秘密保持など幾つかの規定を守る義務があります。

その規定の中で、サイトの保証に関しては、以下の責任が生じます。

売主の義務

  • サイトの引渡し
  • 瑕疵担保責任
  • アドセンス保証

サイトの引渡し

売主は期日までに現在の状態で、双方が決めた方法でサイトを引き渡す義務があります。

現在の状態とは、記事の投稿本数だけでなく、対象サイトをリンクする外部からの被リンク数、記事に貼り付けている広告など全てを含みます。

売主は、サイトのコンテンツの不足、現在の運営に支障をきたす瑕疵や欠陥に気付けば、正直に申告する必要があり、現状を維持したまま引き渡しを完了させなければなりません。

虚偽申告があれば、契約が解除される可能性もあります。

引渡しは、買主が対象サイトの検査を行い、売主に対し合格を通知することで完了。
不合格の場合は、相当の理由を示して売主に通知しなければなりません。

瑕疵担保責任

売主が譲渡前に申告していた内容以外の瑕疵があった場合は、サイトの修補義務が発生します。

・譲渡基準日から6ヶ月間に限り,売主は買主に譲渡した対象サイトに隠れた暇庇があった場合,甲は,隠れた瑕疵の修補義務を負うものとする

修補義務の生じる期間は、6ヶ月間と定められる場合が多く、売主の責任となれば損害賠償なども請求される最悪の事態もあり得ます。

ただ、これはあくまでも隠れた瑕疵の場合
正直にサイトに起こっている問題点を申告していれば、隠れた瑕疵には該当しません。

嘘偽りの申告をすれば、後で必ず問題になるので、注意してください。

アドセンス保証

アドセンス保証とは、対象サイトに対して買手がGoogle Adsense 審査に合格するまで、サイトを修正する義務のことです。

私は過去に3件の売却を経験しましたが、「アドセンス保証」付与の契約をする仲介会社は、1社だけでした。
この保証を契約書に入れるのは任意で、売却額が低いサイトの場合は入れない場合も多いです。

ただ、私の場合は、アドセンス広告の売上が半分以上を占めていたので、30万程度の売却額でも契約書に入れました。

仮にアドセンス審査に通過しない場合は、売り手は審査に合格するようにサイトを改善する努力義務があります。

企業秘密なので、契約書の文面を公開できませんが、私が交わした契約書では、アドセンス申請のやり直しは、複数回(2回以上)認められていました。

万が一、やり直しでも申請に通らない場合は、不合格事由に相当すると認定されます。

私の場合は、一発で新運営者(買主)がアドセンスに合格しましたので、何の問題もありませんでした。

仲介会社によってアドセンス保証の契約内容は変わるかもしれませんが、買手にとっては心強い保証です。

アドセンス保証が契約書にあるのは売り手に不利か?

アドセンス保証は、一見、売主に厳しい契約と思われがちです。

しかし、必ずしも売主だけが一方的に不利になる契約ではありません

私が交わした契約内容は、アドセンス申請に通過しない場合、不合格事由に相当するだけです。

「対象サイトが不合格事由に該当すれば、買手はサイト売買契約を無条件で破棄できる」までは、明記されなかったので、私も安心して契約しました。

「不合格事由に相当した場合は、双方の話し合いで解決する」と決められていれば、売主だけが不利になる契約ではないです。

実際に過去に複数回、審査に通過しなかった事例は、ほとんど無いようです。

一度、アドセンス審査に通過しているサイトを売却するので、新運営者の申請でも許可されるのは当たり前ですよね。

私は契約書にアドセンス保証をつけたことで、買主さんに安心感を持ってもらえたので良かったです。

もし、契約書にアドセンス審査に通らない場合の規定がなければ、お互いに揉めた場合、収拾に時間がかかるかもしれません。

契約書で定めている事は優先事項になるので、悪い状態になる場合も想定して、事細かく決めておく方が安心です。

売主から買主に要求できる契約事項

今まで売主の履行義務を紹介しましたが、逆に買主へ履行を要求できる契約事項を説明します。

売主は契約書で定められている義務と同時に守られる権利もあるので、注意深く契約内容を確認してください。

以下が、買主の主な義務として一般的に定められています。

買主の義務

  • 譲渡代金の支払い
  • 引き渡し後の検査の完了

譲渡代金の支払い

当たり前ですが、買い手は売り手に対してサイトの譲渡代金を支払う義務があります。

売り手は、サイトと引き換えに譲渡代金をもらいますが、仲介会社を通じて取引をしていれば、売主が直接、買主から代金を回収することはありません。

直接取引の場合も、売買の当事者以外の第三者が決済を仲介して、代金を一時的に預かるエスクローサービスを利用すれば、代金未回収のリスクが防げます。

参考記事>>エスクローサービスとは

引渡し後の検査の完了

買い手はサイトの移管後、サイトを検査して売主や仲介会社へ結果を報告する義務があります。

・対象資産(サイト)の引渡しを受けた後、○ 日以内(土日、祝日を含む)に検査の合否を通知しなければならない。

引渡し後の検査期間は、平均7日間で定められることが多いです。

私の場合は買い手の検査完了の通知は、仲介会社の担当者と私(売主)の両方に連絡がきました。

今まで売却した買主達は、3人共も移管後、すぐにサイトの検品をして下さったので、問題は全くありませんでした。

しかし、中には検査が遅い買い手もいるので、期限を定めておくことは重要です。

サイトの保証で売り手が不利にならない契約とは?

売買取引がこじれるケースは、曖昧な取り決めをしていた事がほとんどの原因です。

サイトの保証とは別に、サポート範囲についても細かく明記しておくほうが、後で問題になりません。

一般常識を超える買い手の過度な要求でも、契約書で売り手の責任範囲が明確でないと、断りづらいです。

詳しくは>>サイト売買契約書の注意点|売り手に重要な条文をチェック

契約は自己責任なので、少しでも納得できない点があれば、絶対に曖昧にしないでください。

場合によっては、商談をストップするぐらいの気持ちで、焦らずに着実に進めましょう。

しっかりと契約書の内容を理解していれば、自分に不利な契約を結ばずに済みます。

サイトの保証は、正直に悪いことも申告をしていれば、後で問題になることは少ないです。

サイト売買契約では、誠意ある対応が一番大切なことを忘れないでくださいね。

この記事を書いた人